猪焼谷遡行

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル) 
猪焼谷遡行計画書 ver. 1.0
作成者:丸山

■日程 8/11(土)(荒天の場合延期、前日判断) 
■山域 国見山
■在京本部設置要請日時 2018/8/11 20:00 
■捜索要請日時 2018/8/12 10:00 
■メンバー(計3名) 
 CL丸山 SL木口 迫野

■集合・交通 
 前日夜に入渓点附近で前泊

■行程(予定時間) 
  7:00 出発 
 13:00 遡行終了  
 16:00 下山 
 (計9:00)
 ※余力があれば、隣の掛橋谷を下降 

■エスケープルート  
 猪焼谷:引き返すか、左岸尾根に詰める 
 掛橋谷:そのまま進むか、周辺の径路で下山 

■地図・遡行図 
 2万5千分1地形図「頭地」「宮園」 
 山と高原地図:なし 
 遡行図:なし

■共同装備 
 救急箱(苺)
 8.6mm×30mロープ(緑)
 8.6mm×30mロープ(青)
 ハーケン・カム・ナッツ・アブミ
 ハンマー(ロカ)
 ハンマー(チコ)
 アッセンダー 

■遭難対策費 
 100円×3人 
 計300円 

■備考 
 日の出(8/11)4:59
 日の入(8/11)18:39 
 人吉警察署 0966-24-4110 

猪焼谷遡行・掛橋谷下降記録
作成者:丸山

■日程 2018/8/11(土)
■山域 九州脊梁
■天候 晴れ
■メンバー(計3人、敬称略)
 CL丸山 SL木口 迫野

■総評
 祝子川からの転進先として選んだ沢だったが、延岡から五木は遠かった。沢自体は登れる滝が多く、大滝もあって楽しかったが、丹沢や奥多摩にもありそうな沢であって、わざわざ九州まで来て登るほどのものでもない。登山道がなく、下山路の選択が難しい。

■ヤマレコ記録
 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1600599.html)

■時間
  7:45 出発
 10:16-21 大滝下
 11:21 大滝上
 13:06 遡行終了
 13:19 詰め終わり
 13:42 尾根を離れる
 14:56 掛橋谷に入渓
 16:21 下降終了
 16:42 帰着

■行動記録(敬称略)
 ※遡行図を描いた(ヤマレコ参照)。滝の落差はその遡行図に基づく。
・入渓まで
 もともと祝子川本流に行きたくて九州に来たのだが、天気予報が思わしくない。最後まで悩んだ結果、祝子川と猪焼谷の中間地点附近で寝て、早朝の予報を見て最終判断することにする。果たして朝起きてみると、祝子川は午後から雨の予報。遠路、五木村へ向かう。入渓点のすぐそばに駐車スペースがありありがたい。駐車スペースの脇にある径路を辿っていくと、チッソの「猪焼谷渓流取水口」があり、そこから入渓。
・大滝まで
 入渓するとすぐに滝があり、4m滝を右壁直登(III)、15m滝を右巻き、4m滝を右直登(III)と越えると少し平凡に。その先9m滝は取り付いてみたが諦めて左から巻いたが、途中美味しい湧水あり。続いて釜をもつ2m滝、3m滝と越えていくと、ゴルジュとなって8mCS滝。ここはロープを出して丸山がリードし、シャワーを浴びて水流左を登る(残置なし/IV-)。すぐ上の4m滝は左から越えて(III)、ゴルジュを抜ける。程なくして8m滝が現れ、左から入る支流の7m滝を登ってトラバース気味に本流に戻る(容易)。小滝をいくつか越えると10分ほどで今度は15m滝が出てきて、迫野がリードして右から登ろうとしたが、見た目より難しく諦め、ロープをほどいて左岸ルンゼから巻く。丸山と木口は右岸から巻き気味に登ってから、水線に出て上部のみ直登(III+)。その後7m滝を経て開けたゴーロを歩いていくと、4m滝を前衛にもつ30mの大滝が見える。
・大滝
 この大滝、見る分には迫力があってしかも美しいが、側壁が立っており、登るとなると大変そうである。右から巻くことに決めて登り始めるが、登っても登ってもなかなか側壁が切れず、かなりの大高巻きとなった。とはいえロープを出すような難所はなく、沢床へと復帰。上から大滝を見ると、上段5mもある2段滝であった。
・詰めまで
 大滝の上も小滝が続き、いずれも容易に登れるか巻け、快適に標高を稼いでいく。暫くで現れる13×18m樋状ナメ滝は面白く、丸山と迫野は直登しようとしたが途中で怖くなって右へ逃げた。最後まで登った場合はV程度であろう。木口は最初から右を巻いた。この滝上から多少平凡になるが、ヒラタケの群生を発見し、収穫。その後10m,5m、2m、9mの滝を快適に直登していくと、水も細くなりこの先滝もなさそうなので、右岸の尾根へと詰め始める。藪もない斜面をトラバース気味に登っていくと、僅か10分強で尾根に出ることができた。
・掛橋谷入渓まで
 この尾根、地理院地図では破線が描かれているが、藪はないものの何も道らしきものはない。とりあえず下っていくが何もなく、どうしようかと悩むが、まだ時間もあるので掛橋谷に入ることにして、GPSを見ながら破線を辿って掛橋谷へ降りていく。しかしあまりに何もなく、地形は急峻となるばかりだったので、結局適当な枝沢に入ってそれを下降した。降り立った掛橋谷は広大なゴーロ。
・掛橋谷下降
 ずっとゴーロの平凡な沢かと思っていたが、そんなことはなく、手始めに10m滝が出てきて、左岸から巻き下る。続いて8m滝、15m滝、2条12m滝と連続するが、これらは巻き下るのも危険そうで、懸垂下降を選択。1回はロープ連結での懸垂下降となり、なかなか時間がかかった。遡行の場合も登れなさそうな滝であり、巻きは面倒そうである。遡行図を見ると、この先もかなりの滝があるようであり、このままだと時間的にやばいかなと思い始めたが、思いがけず沢中に立派な人工物が見え始める。近づいてみると地形図や遡行図にない新たな堰ができており、しかも車道もあるではないか。ということでここで沢下降を終了。
・帰路
 この車道には橋がかかっていたが、その銘板曰く、この谷の名前は「広し谷川」で橋の名前は「潤向橋(ほとむきばし)」なんだか地理院地図と違う谷名になっているし、絶対読めないような橋名だし、なんだこりゃ、という気分になった。車道の脇を流れる掛橋谷には、遡行図通りにゴルジュと滝があるようで、この下部のみを遡行する半日沢としても面白そうだと思った。
・下山後
 採集したヒラタケをキノコ鍋にすることにして、途中のスーパーでキャベツやちゃんぽん麺などを購入。温泉入浴後、道の駅で人目も憚らずに鍋をやったが、大変美味なきのこであった。キャベツは1玉すべてを使い切ることはできず、その後の九州旅行中ずっと炎天下の車内に置かれる羽目になり、すこしずつ消費したが、結局浜松まで持ち帰ってしまった。キャベツが常温より高温で20日近くも日持ちする野菜であったとは目から鱗である。

■備考
・沢中での人との遭遇なし。
・上流に山しかない割には水が濁っていて汚い。上流に林道が通っており、最近皆伐でもしたのかもしれない。
・フェルトソール推奨。
・車道歩きが少ないのはいいが、登山道がないので下山には難あり。
・ヤマビルなし。
・「猪焼谷」の読み方は不明。

■感想
・小滝が連続し、大滝もあってなかなか遡行価値の高い沢だが、丹沢や奥多摩にもありそうな沢であって、わざわざ関東から来た人が行くようなところではないと感じた。とはいえ、宮崎や大分は雨予報だったので仕方ない。
・掛橋谷下降で途中で舗装路に出たのはラッキーだった。
・キノコ狩りは楽しい。

■コメント
 特になし

■反省
・地形図に載っている破線路を追ってみたが、痕跡も含めて何もなかったので、無駄に時間と体力を消耗しただけだった。最初から沢筋を辿ったほうが良かった。